世界の大富豪(3)ビル・ゲイツ

【事業家編】

ビル・ゲイツ(一九五五年~);           

アメリカの実業家であり、マイクロソフト社の創業者・会長です。ハーバード大学在学中に、友人と共にマイクロソフト社を設立。コンピュータのオペレーティングシステム(OS)であるMS‐DOSやWindowsを開発して成功し、同社を世界的企業へと成長させました。二〇〇八年にはCEO(最高経営責任者)を引退し、会長職につきました。現在は、慈善事業にも精力的で、「ビル&メリンダ ゲイツ財団」の会長として、主に健康、教育の問題に取り組んでいます。総資産860億ドル(9.7兆円)で世界の大富豪22年間連続でトップの座を守っています。

<日本の経済を発展させるためには>

「日本発の世界標準のもの」をいっぱいつくることだ。日本だけで通用するものでは駄目だ。世界を席巻するような世界標準ソフトを、いろんな業界でつくり出すことができれば、無限の富が入ってくるようになるな。だから、「標準化」だと思う。ただ、自分らの都合で標準化するだけではなくて、顧客のニーズに応えることができるかたちでの標準化が望ましい。標準化という言い方もあるけど、「シェアを取る」と言い換えることもできる。だから、それをしてしまえば、富は無限につくり出すことはできるだろう。

富を無限に創造するには、一人でも多く、無限の方々のニーズに貢献することです。そのためには、標準化ということがとても大きな意味を持っています。かつての、ソニーのベータとVHSの戦い。現代では、iPhoneと日本のガラケー等に見られるように、勝ち残っていくためには、大きなシェアを取って、世界標準化されることが、無限の富の源泉になるようです。

<経営者が正確でスピード感のある判断をするためのコツ>

一人でやることだ。基本的には、人を通して実現するっていうのが、経営のセオリーだ。例えば、社長がいたら、副社長を通し、専務を通し、常務を通し、取締役を通し、部長を通し、課長を通し、主任を通して、部下に言って、やる。そういう“階段”を通って、やるのが経営のセオリーだ。 しかし、伝言ゲームと一緒で、トップの意向は、下まで行ったときには伝わってないのが普通だ。 だから、一人で仕事をすることだ。官僚システムで仕事をすると、だいたい交渉ができない。交渉事は自分で判断しなきゃできないので。

 

トップは、だいたい、強いところが一つしかなく、欠けているところがありますので、一定以上の大きさになったときに、足りない部分が分からなくて、潰れることが普通です。一人であれば、判断も早いのですが、足りないものを補う必要があります。ホンダの創業者、本田宗一郎などは、技術のみを考えており、経営は、藤沢武夫氏に任せていました。技術に関してはワンマンで通し、常に新しいものにチャレンジし、お金のことは、藤沢氏が、しっかりとカバーしていました。

 

<組織の成長の壁を突破する秘訣>

上にいる人が威張らない組織にしないといけない。上にいる人が威張る組織をつくると、自由な文化ができなくなる。やはり、外から見て、誰が何だか分からないようなところが発展している。コンピュータ系の新興企業なんかも、Tシャツを着たり、ジーパンを穿いたりして、自由な服装でやってるようなところがほとんど。これは、発想と行動の自由を確保するためにそうしてるのであって、「ピシッとした背広にネクタイをつけて」っていうのは、もう、既成の大会社のイメージになってる。 要するに、変わった人を排除する原理が働き始めると、その企業はもう古くなったことを意味する。「もう改革はできない」「企業が古くなった」ということを意味している。

 

マイクロソフトでは、ビルゲイツらは、最初、寝袋で会社に寝泊まりして、もう二十四時間、業務をやってて、掃除のおばさんに、どっかの学生だと思われたこともありました。ビルが、「あのー、社長なんですけど」と言っても、信じてくれません。社長が床で寝てるなんてちょっと考えられないので、アルバイト学生と間違われたりしていました。そんな自由闊達な組織であったのですが、だんだん大きくなってきたら、いろんな部門ができて、官僚システムや参謀システムみたいなのができてきたのです。

 

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