日本食レストランNAKATO 老舗の経営

<顧客を知るのは顧客ただ一人>

顧客や市場について、企業の人間が知っていると考えていることは、正しいことよりも間違っていることのほうが多い。顧客と市場を知っているのはただ一人、顧客本人である。したがった、顧客に聞き、顧客を見、顧客の行動を理解して初めて、顧客とは誰であり、何を行い、いかに買い、いかに使い、何を期待し、何に価値を見出しているかを知ることができる。

『創造する経営者』

<お客様のお望みはエンターテインメント>

アトランタには老舗日本食レストランである、RESTAURANT/NAKATOがあります。

1972年に開店したこのレストランは、鉄板焼きのHIBACHI部門と、寿司バーを中心とするWASHOKU部門の2つからなっています。奥には、日本でも見かけないくらい素晴らしい座敷が用意されています

米国でのJAPANESE STAKE HOUSEは、ロッキー青木氏が1964年に始めたBENIHANAが、その先駆者で、アトランタではほぼ同じころに開店しています。ロッキー青木氏の成功物語は、日本でも有名ですので、JAPANESE STAKE HOUSEもよく知られているかと思いますが、そのパフォーマンスを売りにしています。

鉄板の前で、シェフが、チャーハン、ステーキ、シーフードなどをショー風に仕立て上げて料理をし、お客さんと会話を楽しみながら食事をとるスタイルです。誕生日のお祝いに来られるグループには、従業員が太鼓を鳴らしながら、東京音頭をうたってお祝いします。このレストランに来られる方は、これらのパフォーマンスを楽しみに来ているようです

ある時、常連客がお友達をお連れされたとき、いつもは必ず入れるジョークを常連さんだからと言って、飛ばしてしまったところ、あとから、その常連さんに、「なんでいつものジョークを言わなかったんだ、おれは、それを聞かせるために、友達を連れてきたのに。」と叱られたそうです。ジョークを聞きにレストランに来ることもるのですね。

 

マーケティングの世界では、コトラーのドリルの販売のたとえは有名ですね。ある日曜大工店で、ドリルを買いたいというお客を対応したときの話です。売る側は、自分の店のドリルについて、「いろいろなドリルがあって、こんな性能があります」と説明し、ドリルを売ろうとするわけです。しかし、お客が求めているのは、ある木材に穴をあけることであり、ドリルが欲しいわけではないのです。結局は、店の工作部で穴をあけてもらって、お客は喜んで帰ったという話でした。大切なのは、お店の立場で、商品を説明したり、商品をいくら売るかということではなく、お客様の立場にたって、お客様が何を求めているかをキャッチすることです。そうすれば、おのずとものは売れてしまうのです。

ドラッカーも「マーケティングとは、販売をなくすことだ」と言っています。マーケティングの真髄をついたものでしょう。レストランのマーケティングの基本は口コミでしょう。美味しい料理と、きめ細やかなサービスを提供していれば、口コミで、広がっていきます。お客様の気に入らない料理やサービスを提供すれば、反対に、お客様は入りません。新規顧客を獲得するには、チラシやクーポンを配ることも、よくやられています。

近頃は、YELP(日本のぐるなびみたいなもの)のような、ネットによるレストラン検索ののレヴューがいろいろな点で重要になっています。悪い評判は、即座に広まりますし、新しいレストランを探すときには、必ず、このレヴューを参考にするという人が多いです。このお客様のご意見にしっかり対応して今ないと、そのレストランは生き残れません。レストランにはとても怖い時代ともいえるでしょう

また、リピーターを増やす努力としては、顧客リストを作り、メールやダイレクトメールで管理しているところが多くみられます。その顧客に対して、いろいろな企画を提供して、お店に足を運んでいただくのが、売り上げにも貢献しているようです。NAKATOでは、ハロウィーンのかぼちゃランタン創りや、ひな祭りなど、子供たちをターゲットに、集客をしています。いろいろな企画で、お客様にも喜んで頂いているようです。

http://nakatorestaurant.com/

 

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