世界の大富豪(1) ジョンDロックフェラー

【事業家編】

ジョン・デイヴィソン・ ロックフェラー

アメリカ合衆国、ニューヨーク州リッチフォード生まれ。(1839年~1937年)父は、巡回セールスマンのウィリアム・ロックフェラー、母は、敬虔なバプティストであったイライザ。「スタンダード・オイル」の創業者。石油業で巨富を築き、「石油王」と称された。1937年に亡くなった時の遺産は14億ドルとみられ、米国GDPの1.5%に当たる(2016年換算で300億ドル)。世界最強であった大英帝国を追い抜いて20世紀のアメリカの繁栄の基を築いた大富豪の一人です。

【成功の秘訣】

『ひらめき・インスピレーションは重要だけれど、それだけでは大きな事業にはならない。アイデアを、システム的に軌道にのせていき、他の産業にどういうふうに使っていけるかというとこを考えて、その用途を開発し、広げていくということが大事。』

<解説>

ロックフェラーの時代に石油を次世代のエネルギーであると感じていた人は多くいました。鯨油はあまりにコストが高すぎ、大量消費には適していませんでした。しかし、最終的に成功を掴んだのはロックフェラーでした。彼は、石油精製の会社の投資から始まり、将来の鉄道に変わる自動車による大量輸送を理想に描き、その基礎事業として石油事業を推し進めたのです。このように、より大きな理想を描き、他の産業をシステマティックに興隆させる理想を描いていったために、大成功を手にすることができたのです。

『その集中した富を投下することによって、大きなものができ、他の者にはできないようなものができるようになる。集める過程において、質素倹約というものが必要である。』

<解説>

ロックフェラーは、競合する石油精製会社の買収を強力に推し進めるとともに、自社の経営効率の改善及び運送コストの低減に尽力しました。1872年には、たった4ヶ月の間にクリーブランドの競合企業26社のうち、22社を吸収合併しスタンダードオイルの傘下に置いたのです。この吸収合併の規模ゆえに、輸送コストなどの交渉に力を発揮し、運賃を値引きさせ、低価格で石油を提供できるようになりました。一時期、スタンダードオイルの石油精製は世界の90%にも及び、世界最大の製油会社になるとともに、ロックフェラーは世界の大富豪になっていったのです。

『成功者にとっては、成功者を観察し、成功者の空気を読み、成功者の香りをかぎ、成功者の真似をしていくことが大事だ。成功者であっても、善悪を持っているから、人の良いところを見ていこう。真似していこうという気持ちを持つことが大事。』

<解説>

成功者であっても、パーフェクトな人間ではありません。良いところもあり、悪いところもあります。彼の松下幸之助氏もお妾さんがたくさんいたとか、本田宗一郎氏も、かつて、芸者さんを窓から投げ落としたみたいなエピソードをお持ちです。成功者で、大富豪のドナルドトランプ氏も、性格的には、いろいろ批判もありますが、それで、すべてを否定してしまうと、成功者の部分まで否定してしまうことになります。ロックフェラー氏については、その吸収合併の過程において、非難されるところはあったようです。しかし、その中でも良いところを見て真似をしていこうとすることが重要です。

『自分たちが富の集積に成功していると同時に、それに釣り合うだけの社会貢献をしなくてはならない。』

<解説>

ロックフェラーの慈善行為は16歳の時から始まっています。彼の記録によれば、収入の6%を寄付に回していました。20歳になるころには、収入の10%を教会関係に寄付していました。彼が豊かになるにつれて、寄付の方向は教育関係や公衆衛生関係に送られることが多くなりました。また、基礎科学や、芸術に対しても寄付を行っていました。彼の若いころは、どちらかというと、健康的にはあまり良くありませんでした。おそらく、多くの方々の嫉妬や羨望の思いを受けていたための影響かと思われます。晩年、慈善家として大半を生きることによって、その嫉妬の思いが軽減されたのか、とても健康になり、97歳で亡くなりました。やはり、真の成功者となるためには、自らの成功が、他の人々、社会の貢献に寄与することが大切だということですね。

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