マーケティング

<ドラッカーのマーケティング>

ドラッカーは、1909年にオーストリアのウィーンに生まれました。彼が4歳の時に第一次世界大戦が勃発し、激動の時代の中を生きてきた方です。ドラッカーの父親はオーストリアの政府高官で、裕福な家庭でした。彼の父親は、交友関係の広い方で、ドラッカー少年は、自宅のサロンに父が招いた、当時の時代をリードする知識人、たとえば、精神分析の父であるフロイトとか、経済学者のシュンペーターにも接する機会に恵まれたのです。

ドラッカーは、後に、マネジメントの父と呼ばれるようになりますすが、そのマネジメントの研究に、本格的に入るきっかけを得たのは、1943年、ドラッカー34歳の頃です。その頃は、アメリカに渡っていたドラッカーは、その卓越した観察力が買われ、GM(ゼネラル・モーターズ)から、自社の企業内組織の調査に関する依頼が舞い込みます。このGMを18ヶ月に渡り詳細に取材・研究し、著書『会社という概念』を表します。その後も、『創造する経営者』『現代の経営』『マネジメント』『イノベーションと企業家精神』と、次々とマネジメントを体系化し、書籍化してゆきました。

戦後、日本でも数多くの人が、このドラッカーのマネジメント思想を学び、日本が大発展する原動力になりました。

P.F.ドラッカー

<ドラッカーとの出会い>

私は、NPOのマネージメントに携わっており、ドラッカーとは『非営利組織の経営』を学んだことから付き合いが(本の中だけですが)始まっています。

『現代の経営』には、「企業が顧客の創造であることから、企業には2つの基本的な機能が存在する。すなわち、マーケティングとイノベーションである。」とあります。

ここでは、ドラッカーのマーケティングについて、実社会での実例を示しながら、ネットビジネスにも応用可能な内容を提示していきたいと思います。

(1)マーケティングは販売を不要にする。

「販売とマーケティングは逆さである。同じ意味でないことはもちろん、補い合う部分さえない。もちろん何らかの販売は必要である。だが、マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。マーケティングが目指すのは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。」『マネージメント』

この、ドラッカーの言葉は衝撃的であり、また、不思議な言葉だと思います。マーケティングとは販売を不要にすることであるとは、驚きであり、また納得でもありました。セールスが必要でない販売とは、おのずから売れるようにすることであり、セールスのいないネットビジネスには、まさに、宝物のような智慧の言葉ではないでしょうか。

(2)顧客を知るのは顧客ただ一人

顧客と市場を知っているのはただ一人、顧客本人である。したがって、顧客に聞き、顧客を見、顧客の行動を理解し始めて、顧客とは誰であり、何を行い、いかに買い、いかに使い、何を期待し、何に価値を見出しているかを知ることができる。『創造する経営者』

ここでは、自らを顧客の立場において、一人の顧客として、いろいろなマーケットを観察していきたいと思います。町は、マーケットにあふれています。ドラッカーのマーケティングがどのように展開されているか、自分の目で確かめてみたいと思います。

 

<事例紹介>

1.コカ・コーラのマーケティング

企業とは何かを理解するには、企業の目的から考えなければならない。企業の目的は、それぞれの企業の外にある。企業は社会の機関であり、目的は社会にある。企業の目的として有効な定義は一つしかない。顧客の創造である。 『現代の経営』記事を読む

2.チック・フィ・レイの経営理念

マネジメントには、自らの組織を機能させ、社会に貢献させるうえで、三つの役割がある。それら3つの役割は異質であるが同じように重要である。

第一に、企業、病院、大学のいずれであれ、自らの組織に特有の目的と使命を果たす。

第二に、仕事を生産的なものにして働く人たちに成果をあげさせる。

第三に、自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する。『マネジメント』記事を読む

3.スタバのコーヒーは愛だ!

企業の目的が顧客の創造であることから、企業には二つの基本的な機能が存在する。すなわち、マーケティングとイノベーションである。この二つの機能こそ起業家的機能である。『現代の経営』記事を読む

4.Trader Joe’sの理念経営

不得手なことの改善にあまり時間を使ってはならない。自らの強みに集中すべきである。全くの無能を平均以下の水準にするには、一流を超一流にするよりも、はるかに多くのエネルギーと努力を要する。『明日を支配するもの』記事を読む

5.日本食レストランNAKATO 老舗の経営

顧客や市場について、企業の人間が知っていると考えていることは、正しいことよりも間違っていることのほうが多い。顧客と市場を知っているのはただ一人、顧客本人である。したがって、顧客に聞き、顧客を見、顧客の行動を理解して初めて、顧客とは誰であり、何を行い、いかに買い、いかに使い、何を期待し、何に価値を見出しているかを知ることができる。『創造する経営者』記事を読む

6.ユニバーサル・スタジオのマーケティング

イノベーションの戦略の一歩は、古いもの、死につつあるもの、陳腐化したものを計画的かつ体系的に捨てることである。イノベーションを行う組織は、昨日を守るために時間と資源を使わない。昨日を捨ててこそ、資源、特に人材という貴重な資源を新しいもののために開放できる。『マネジメント』記事を読む

7.ファーマーズ・マーケットのマーケティング

あらゆる者が、強みによって報酬を手にする。弱みによってではない。したがって、常に最初に問うべきは、「われわれの強みは何か」である。『乱気流時代の経営』記事を読む

8. ISAGENIXのネットワークビジネス

組織において成果をあげるためには、働く者の価値観が組織の価値観になじむものでなければならない。同じである必要はない。だが、共存しうるほどに近いものでなければならない。さもなければ、心楽しまず、せいかもあがらない。『明日を支配するもの』記事を読む