チック・フィ・レイの経営理念

<マネジメントの三つの役割>

マネジメントには、自らの組織を機能させ、社会に貢献させるうえで、三つの役割がある。それら3つの役割は異質であるが同じように重要である。

第一に、企業、病院、大学のいずれであれ、自らの組織に特有の目的と使命を果たす。

第二に、仕事を生産的なものにして働く人たちに成果をあげさせる。

第三に、自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する。

P.F.DRUCKER『マネジメント』

 

 

Chick-fil-Aの経営理念による経営>

上記、3つの役割を果たすための手法として、理念経営というものがあります。

ドラッカーの経営者に贈る5つの質問の第1番目、我々のミッションは何か?

ということを表す端的な言葉です。

言い換えれば、なぜ我社が必要なのか。

それに応えるのがミッションステートメント、経営理念と呼ばれるものです。

ここアトランタにも少し変わった経営理念を持った会社があります。

チキン・サンドイッチで有名な、チックフレイ(Chick-fil-A)という会社です。

1946年に一軒のレストランとしてスタートし、

現在5千億以上の売り上げを誇るファースト・フードチェーンです。

その経営理念は、

「委ねられた全ての敬虔な僕として、神の栄光をたたえるために、

チックフレイ(Chick-fil-A)を訪れるすべての方々に、

良き影響を与ええることを目的とする」

というものです。

これは、クリスチャンである創設者のツレット・キャシーの方針です。

マーケティングとしては、近くのフォード工員のために、

面倒な骨を取り除き、短い昼食時間に簡単に食べられるチキンサンドイッチを、

世界で最初に考案したレストランであり、

また、モールと呼ばれる大規模商業施設の中に、

初めてファーストフードレストランとして、店舗を持った企業でもあります。

店舗内の厨房で、冷凍されていない生肉から調理することで、

大変おいしいチキン・サンドイッチを提供してくれるということで発展しました。

クリスチャン経営の特徴として、日曜日に閉店するレストランとして有名です。

神様の愛のために、お客様の愛のために経営するレストランが、

発展しないはずはないですね。

この美味しいチキンサンドイッチをあなたもお試しになりませんか?

チックフィレイWEB

コカ・コーラのマーケティング

<顧客の創造>

企業とは何かを理解するには、企業の目的から考えなければならない。

企業の目的は、それぞれの企業の外にある。

企業は社会の機関であり、目的は社会にある。

企業の目的として有効な定義は一つしかない。

顧客の創造である。

P.F.DRUCKER『現代の経営』

企業における「成果」とは何かを考えると、

ともしますと、利益を上げることが企業の目的である、

というような感じになりがちですが、実は、そうではありません。

なぜなら、利益だけを求めても利益はこないんです。

顧客のニーズを満たすことが先で、利益、成果は後からついてくるのです。

ですから、ドラッカーは、「企業の目的は顧客の創造である」

という言葉で、利益が目的と思っている、あまたの経営者に対して、

「まず注視すべきは顧客なのだ」という、顧客志向を強く打ち出し。

その眼のウロコを落としたのです。

この顧客志向において、いかにして顧客を創造するかを考えた時に、

よく使われるコンセプトがあります。

『物を売るな、体験を売れ。』

セールス、マーケティングの世界ではよく知られた言葉です。

 

<コカ・コーラミュージアムの体験>

ここアトランタは炭酸飲料水で世界を席巻するコカコーラの発祥の地であり、

ワールドオブコカコーラミュージアムがあります。

ここで、体験的にコカ・コーラのマーケティングを考えてみましょう。

コーラサイン

ワールドオブコカコーラミュージアムには、

130年の歴史を持つコカコーラの全てが展示されており、

たった2人しか知らないコカコーラの製法も、

ここの大金庫に収められています。

ミュージアムはコカコーラの一大広告塔で、

しかも刺激的な体験の数々が用意されています。

入館して直ぐに3種類のコカコーラの無料試飲を勧められます。

キンキンに冷えたコーラにはチョッと感動を覚えます。

まずは、製品を飲んでいただくという、直接的な体験が提供されます。

しばらくすると、展示館の中に導かれます。

そして、若くてチャーミングなお姉さんが、

とてもフレンドリーに歴史を紹介してくれます。

出身地を聞かれますので、めいめいが州の名前や、国名を伝えています。

全米各地から、あるいは、全世界からの旅行者も含め、

この時点で、インターナショナルな雰囲気がいっぺんに高まります。

次の映像ルームではコカコーラのコマーシャル映像。

世界中の感動体験を映像化したもので、

そのシーンの中にはいつもコカコーラがあります。

家族そろってお祝いするバースデーパーティー、

熱気球に乗ったカップルが、カーゴの中で、プロポーズする姿。

雪山のゲレンデをさっそうと滑りくるスキーヤー、

そして、その手には、コカ・コーラを持っている。

流石、世界のマーケティングをリードする企業のCMです。

コカコーラの歴史展示もほとんどが体験型ですし、

4Dシアターでは立体映像、椅子は動くは、風吹き付けられるは、

ユニバーサルスタジオを彷彿とさせる演出です。

最後は、世界のコカコーラ製品の試飲で、

100種類以上の清涼飲料水を楽しむことができます。

ただし、甘い!にが!すっぱ!お国柄によって、

よくこんなものが飲めるというものまであります。

すべてがコカ・コーラのPRで、しかも入場料まで取ります。

でも、でも、館を出るころには、すっかりコカ・コーラの大ファンになっています。

素晴らしいマーケティングです。

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コカ・コーラWEB