世界の大富豪(2) アンドリュー・カーネギー

事業家編

アンドリュー・カーネギー

スコットランドからアメリカへの移民。カーネギーは10世紀後半、アメリカの鉄鋼産業を牽引し、アメリカでもっとも豊かな富豪の一人と言われています。晩年の18年間は、慈善事業に人生を費やし、彼の90%以上の財産、約3.5億ドル(現在の786億ドル相当)を寄付したことになります。カーネギー工科大学、カーネギー財団、カーネギー博物館、カーネギー図書館などを設立。さらに、教育研究機関・平和機関に投じるなど、慈善事業家として援助を続けました。最もお金を投資したのは、アメリカ各地やイギリスおよびカナダなどでの図書館、学校、大学の創設等です。著書『富の福音』の中で、「裕福な人はその富を浪費するよりも、社会がより豊かになるために使うべきだ。」と述べています。1998年の「アメリカン・ヘリテージ」では、米国歴代富豪番付の2位にランクされています。(1位はジョン・ロックフェラー)

 

カーネギーが主張する成功を妨げる3つの要因

○「飲酒癖のある人で成功する人はいない」

「青年で飲酒癖がある人は、成功しないと見切ったほうがいい。これに投資したら損する」

青年期は、蓄積の時代です。何を蓄積したかによって、将来の成功、不成功が決まってきます。飲酒癖はその最たる障害となっているのです。私自身も若いころは飲酒癖があり、成功への道がかなり遅くなってしまいました。まずは、種銭の蓄積が遅れたことです。20代から30代前半までは、“花金(花の金曜日)、英語では、TGIF( Thank God It‘s Friday)”と言って毎週末には飲みに出かけていました。一次会で5千円、2次会で5千円、一日で最低1万円は飲み代に消えていたのです。これを10年続けたわけですから、少なくとも500万円以上消えたわけです。

それ以上に、浪費したのは時間だったのです。金曜日の4時間、毎日の1時間程度、飲んだおかげで、読書に費やす時間が取れませんでした。時間にすれば、10年で5,400時間も、1日8時間労働とした場合、約2年の間飲み続けたことになります。これでは、成功には程遠いと言わざるを得ませんね。若いうちの苦労は金を払ってでもしろと言う金言もあります。カーネギーは、“偉人の大部分は貧困のもとに生まれている”と言います。青年時代に為すべき成功の要因は、①業務知識を身に着けること。②勤務時間外に練習すること。③通常の仕事を超えたビジネスをすること。④新しいことに挑戦すること。⑤チャンスを逃さないこと。これでは、お酒などは飲んでいられませんね。

 

○「投資と投機の区別はとてもむつかしいところにある」

「投機をやる人間で、事業で大成功する人は、ほとんどいない」

投資と投機の区別はむつかしいところがありますが、一般的には、投資とは、生産的な手段のためにお金を出し、それを運用していただく過程で、利益を得ることを言います。特徴的には、その資金によって不付加価値が生まれるものを投資と呼びます。一方、投機とは、機会に対してお金を出し、そこから利益を得ることを言います。例えば、株式で、デイトレードや、スイングトレードなども投機と呼びます。FX等は、短期的、長期的にかかわらず、付加価値を創造しないため投機と呼ばれます。投機におけるリスク、投資におけるリスク、ともにリスクは存在するのですが、付加価値を生むという社会貢献を目指した投資においては、リスクが低いのは当然です。投機においては、人々の思惑によって変動する要因が大きいため、リスクが大きくなるのです。それゆえ、事業で大成功する人はほとんどいない、とアンドリューは言っているのです。

しかし、最初に言ったように投資と投機の区別はむつかしいということです。付加価値をどのように見るかによって変わってくるためです。現代の「暗号通貨」などはいかがでしょう。「暗号通貨」にお金を出すことは、通常、投機と呼ばれるでしょう。しかし、”デジタル通貨の流通による資金移動の利便性の向上”という付加価値を考えた場合、「暗号通貨」への資金提供は投資といえるのかもしれません。

 

○「失敗しやすいのは、自分の才覚によって成功・失敗を決められないものに関わること」

「連帯保証を受けてはならない」

この言葉は、カーネギーが行ってきた投資とは相反するもののように聞こえます。即ち、投資とは第3者に資金の運用を任すことですから、自分の才覚によって成功・失敗を決められないように見えます。しかし実際には、多くの投資をカーネギーはしています。従って、投資は自分の才覚によって、未来を見通し、付加価値がその価値として実現することを見通す才覚があるということです。情報を集めて未来を見通す力はカーネギーの成功の大きな特徴で、彼の最大の才覚と言ってもいいでしょう。

連帯保証は、投資と似ているようで、まったく違うものかと思います。少なくとも、連帯保証からは何の利益も生まれません。反対に、安易に連帯保証人になったばかりに、自分の事業さえもつぶしてしまう経営者は数多くいます。連帯保証人にはならないことです。どうしても必要というなら、あげるつもりで、いくらかの資金を提供したほうがずっと安全です。

 

カーネギーの言う“成功を妨げる3つの要因”をよくよく考えて、成功への道を進んでいただきたいと思います。

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