<顧客の創造>
企業とは何かを理解するには、企業の目的から考えなければならない。
企業の目的は、それぞれの企業の外にある。
企業は社会の機関であり、目的は社会にある。
企業の目的として有効な定義は一つしかない。
顧客の創造である。
P.F.DRUCKER『現代の経営』
企業における「成果」とは何かを考えると、
ともしますと、利益を上げることが企業の目的である、
というような感じになりがちですが、実は、そうではありません。
なぜなら、利益だけを求めても利益はこないんです。
顧客のニーズを満たすことが先で、利益、成果は後からついてくるのです。
ですから、ドラッカーは、「企業の目的は顧客の創造である」
という言葉で、利益が目的と思っている、あまたの経営者に対して、
「まず注視すべきは顧客なのだ」という、顧客志向を強く打ち出し。
その眼のウロコを落としたのです。
この顧客志向において、いかにして顧客を創造するかを考えた時に、
よく使われるコンセプトがあります。
『物を売るな、体験を売れ。』
セールス、マーケティングの世界ではよく知られた言葉です。
<コカ・コーラミュージアムの体験>
ここアトランタは炭酸飲料水で世界を席巻するコカコーラの発祥の地であり、
ワールドオブコカコーラミュージアムがあります。
ここで、体験的にコカ・コーラのマーケティングを考えてみましょう。
ワールドオブコカコーラミュージアムには、
130年の歴史を持つコカコーラの全てが展示されており、
たった2人しか知らないコカコーラの製法も、
ここの大金庫に収められています。
ミュージアムはコカコーラの一大広告塔で、
しかも刺激的な体験の数々が用意されています。
入館して直ぐに3種類のコカコーラの無料試飲を勧められます。
キンキンに冷えたコーラにはチョッと感動を覚えます。
まずは、製品を飲んでいただくという、直接的な体験が提供されます。
しばらくすると、展示館の中に導かれます。
そして、若くてチャーミングなお姉さんが、
とてもフレンドリーに歴史を紹介してくれます。
出身地を聞かれますので、めいめいが州の名前や、国名を伝えています。
全米各地から、あるいは、全世界からの旅行者も含め、
この時点で、インターナショナルな雰囲気がいっぺんに高まります。
次の映像ルームではコカコーラのコマーシャル映像。
世界中の感動体験を映像化したもので、
そのシーンの中にはいつもコカコーラがあります。
家族そろってお祝いするバースデーパーティー、
熱気球に乗ったカップルが、カーゴの中で、プロポーズする姿。
雪山のゲレンデをさっそうと滑りくるスキーヤー、
そして、その手には、コカ・コーラを持っている。
流石、世界のマーケティングをリードする企業のCMです。
コカコーラの歴史展示もほとんどが体験型ですし、
4Dシアターでは立体映像、椅子は動くは、風吹き付けられるは、
ユニバーサルスタジオを彷彿とさせる演出です。
最後は、世界のコカコーラ製品の試飲で、
100種類以上の清涼飲料水を楽しむことができます。
ただし、甘い!にが!すっぱ!お国柄によって、
よくこんなものが飲めるというものまであります。
すべてがコカ・コーラのPRで、しかも入場料まで取ります。
でも、でも、館を出るころには、すっかりコカ・コーラの大ファンになっています。
素晴らしいマーケティングです。
コカ・コーラWEB